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読書感想文で親子成長 対話型講座や教材が人気

2017年8月5日

 小学校の夏休みの宿題で定番の読書感想文を巡り、一定の型を使い、親子らの対話を通して完成させる仕掛けが人気を集めている。子どもの「伝える力」を育むとともに、保護者の子育て力の向上や、多世代のつながりづくりに役立てているのが特長だ。

福地さん(左)とやりとりしながら読書感想文の作成方法を学ぶ保護者ら
原稿用紙を描いた衣装を着て、「対話を通して楽しく書いて」と呼び掛ける本下さん

 大阪市教育委員会は、家庭教育を充実させる一環で2016年夏に、親子で読書感想文の書き方を学ぶ講座を企画。定員の4倍を超える申し込みがあり、17年度は規模を拡大して実施している。

■まずは認めて

 「大人がコミュニケーションの取り方を変えてみて」

 1日に大阪市西区の市立中央図書館で開いた講座で、教育コミュニケーション協会キッズ作文トレーナーの福地朋子さんが保護者らに呼び掛けた。

 講座では、子どもたちは別室で読書感想文の書き方を学習。保護者は、子どもの意見を引き出す問い掛け方などを学んだ。

 同協会は、子どもが七つの質問に答えていくと作文の内容が出来上がる手法を提唱。「本の中で誰かに教えたいと思ったこと」や「その部分を読んだ時の気持ち」などを聞く。

 息子と参加した桑原雅美さん(41)=同市鶴見区=は「具体的に質問する点が分かった。今年は私も一緒に書いてみたい」と意欲。福地さんは「質問の答えを否定すると子どもの思考を停止させてしまう。まずは一人一人違う感性を認めてあげて」と助言した。

 市教委の担当者は「講座が親子ともども成長する機会になれば」と期待する。

■デザインの力

 原稿用紙を閉じた冊子の最初に読書感想文の書き方を図示し、説明通りに書き込んでいくと完成する教材「読書感想文が、よく書ける原稿用紙。」を開発したのは、大阪や兵庫で活動するグラフィックデザイナーの本下瑞穂・コトバノミカタ社長。デザインの力を教育の現場で生かそうと企画した。

 米国の小学校の作文教育で使われている「ビジュアルオーガナイザー(視覚的に思考を整理する型)」を参考に「本の説明」「自分の体験」といった四つの枠内にメモを書き込む。

 重視するのは子どもと周りの大人がやりとりしながら書く点。本下社長は「対話で考えが整理されやすくなる」と指摘する。一方で対話の機会が多世代のつながりづくりに役立つと、地域の高齢者と子どもが一緒に取り組む場を16年夏に設定。申し込みが定員を超え、2度追加講座をする人気ぶりだった。

 「周りから評価される文章が書けた」との評判は口コミで広がり、通販サイト・アマゾンの「原稿用紙」の分類でベストセラー商品にもなった。

 講師を務める際は、視覚的にも楽しんでもらおうと原稿用紙を模様にした赤い衣装で登場する本下さん。「地域全体が楽しく学べる仕組みをつくり、グローバル社会の中で子どもたちが発信力を高めていけるよう後押ししたい」と展望を示している。