受話器上げると飛び出す 啓発シールで詐欺撃退 鳥取署配布、日南町は全戸に

 過去最悪のペースで増加する特殊詐欺被害を食い止めようと、鳥取署や日南町は固定電話に貼り付ける注意喚起のポップアップシールを作った。受話器を持ち上げると「それ詐欺です!」などのメッセージが飛び出す。日南町は広報誌に製作キットを挟み込んで全戸配布し、年末年始の被害を防ぐ。

 鳥取県警によると、今年1月から12月20日までに認知した県内の特殊詐欺の被害件数は71件で、過去最悪だった2017年に並んだ。被害総額は3億1230万円で、最も多かった14年の1億5911万円の約2倍。被害者は固定電話にかかってきた人が半数以上を占め、年代は60~70代が多い。

 鳥取署が作製したポップアップシールは縦10センチ、横5センチのサイズで、警察官のイラストに「“ATMへ行って”“お金が返ってくる”それ詐欺です‼」とメッセージを付けた。受話器と本体の隙間に貼ると受話器を上げるたびに立ち上がる仕組みで、署員のアイデアで約2千枚作製。順次追加し、地域の各世帯への防犯指導などの際に配布する。

 鳥取署生活安全課の牛尾朋弘課長は「特殊詐欺の予兆である“アポ電”は固定電話にかかってくるケースが多く、そこから還付金詐欺や預貯金詐欺、オレオレ詐欺などにつながる」と指摘。「詐欺電話がかかってこない対策や、不審な電話に対応しないことが重要。焦って相手の指示通りに動かず、まずは警察など誰かに相談して」と訴える。

 一方、日南町でも高齢者を狙った固定電話での詐欺未遂事案が発生している。10月には80代夫婦が「振り込みをしたい」と山陰合同銀行生山出張所(同町霞(かすみ))の窓口を訪れ、行員が水際で被害を食い止めた。

 「日南町版の啓発をしては」という中村英明町長の提案をもとに、職員が水際対策としてポップアップシールを考案。「すぐにお金が必要」「ATMへ行ってほしい」など詐欺でよく使われる言葉で注意喚起し、併せて黒坂署や消費者ホットラインなどの相談窓口の番号も記載した。

 町では25日発行の「広報にちなん」に製作キットを挟み込んで全戸配布する。住民課の景山波留声(はるな)主事は「家族や親戚が集まる年末年始に話題にしてもらい、話し合うことで被害防止につながれば」と話した。

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