新日本海新聞社旗争奪「第36回北但西部地区少年野球大会」(新日本海新聞社主催、新温泉ドリームズ主管、香美、新温泉両町、但馬野球協会など後援)が28日、新温泉町湯の健康公園多目的グラウンドで開かれ、1回戦と3位決定戦、決勝戦で熱戦を展開した。決勝戦は前回王者の香住ジュニアベースボールクラブと美方イーストジュニアが対戦。守りで流れをつかんだ香住が終盤に勝ち越し、粘る美方を抑えて大会連覇を決めた。

3位決定戦は、浜坂ブルーオーシャンズが新温泉ドリームズの守りの乱れに乗じて得点を重ね、新温泉の反撃をかわした。上位3チームには賞状が贈られた。
雲一つない晴天の下、グラウンドでは真剣なまなざしの球児たちが躍動。白球を追うはつらつとしたプレーに保護者らからは大きな歓声と拍手が送られた。
会場には日本海新聞移動編集車「日本海メディア号・みみちゃん」が出動し、熱戦を伝える特別号外を発行。選手や保護者らに配り、思い出づくりに一役買った。(高﨏正範)
美方、粘るも届かず
▽決勝
香住ジュニアベースボールクラブ 000121=4
美方イーストジュニア 010000=1
鮮やかな逆転で香住が勝負強さを見せつけた。四回に同点に追いつき、五回1死、寺川と川田の適時打で2点勝ち越し。続く六回にも谷岡、谷口の連続安打で美方を突き放した。中堅手・早瀬の好守もあって試合の流れをたぐり寄せ、2連覇を果たした。
美方は二回に1点を先制したが、三回以降は香住の先発・寺川、2番手・高鍬の好投に追加点を阻まれ、逆転を許した。(足立七海)

流れ呼び込む守り 香住の早瀬選手
安定した投手陣と堅い守りがチームカラーの香住が、持ち味を存分に発揮して大会2連覇を決めた。
象徴するプレーは同点に追い付いた後の四回の守り。2番手の高鍬大和投手がテンポ良く2死を奪取。このまま凡打で締め、反撃に-。
そんなムードが漂う中、中前にフラッと上がった打球にセンターの早瀬和蔵選手が飛びついた。グラブに収まる白球を高々とアピール。「落としていたら試合の流れが作れなくなるところだった」と早瀬。打球を追った高鍬も「すごく助かった」と笑う。
まさに流れをたぐり寄せたプレーは五回の勝ち越し、追加点を呼び込んだ。前大会から1年。川嶋博行監督は「声が出るようになり、守りに安定感が増した」と成長を褒める。(高﨏正範)
もっと練習打ちたい 美方イーストジュニア
「子どもたちが頑張って思い切りやれた」と振り返った田中伸欣監督。四回には同点に追いつかれたが、子どもたちはしっかり声も出てチームの雰囲気は良かった。準優勝の結果に「自分たちの打球が、相手の守備の良さで安打にならないプレーもあった。もっと練習しなければと感じた」と話していた。
チームを奮い立たせるために、声をかけ続けた上田祐大主将は「チームが一丸となってプレーできてよかった」と笑顔。打撃には物足りなく「もっと練習して打てるよう頑張りたい」と前を向いた。(岡村博)
浜坂 打撃で圧倒 新温泉、反撃及ばず
▽3位決定戦
浜坂ブルーオーシャンズ 01526=14
新温泉ドリームズ 00030=3
(五回時間切れ)
▽二塁打 西村琉、藤田、山本永(浜)
浜坂が二塁打3本を含む12安打で新温泉を圧倒した。二回に敵失で1点を先制した後、三回は山本永の二塁打など4安打、3盗塁で5点を奪取。四回に2点を加えた後、五回には二塁打が2本飛び出すなど打者一巡の猛攻で試合を決定付けた。
新温泉は三回まで浜坂の先発・門脇の前に打線が沈黙。四回に西村旺、西村美の連打などで3点を返したが、反撃は及ばなかった。(中村宏)

攻める野球取り戻す 浜坂ブルーオーシャンズ
1回戦は最終回に追いつかれて抽選負けを喫しただけに、悔しさをぶつけて着実に得点した浜坂。攻める野球を取り戻して3位に輝いた。
関尾憲正監督は「声をかけ合ってうちらしい野球ができた。打つことにはこだわっている。子どもたちの力を伸ばしてやりたい」と振り返る。初戦は敗れたが、「子どもたちは一つのプレーで流れが変わるという素晴らしい経験をしたと思う」と前向きに捉えた。
初戦で投手を務めた西村琉哉主将は「チームに迷惑をかけてしまった。2試合目は打線がつながって勝てたし、自分も頑張った」と胸を張った。(岡村博)
香住が安打、盗塁量産
▽1回戦
新温泉ドリームズ 001=1
香住ジュニアベースボールクラブ 810×=18
(三回コールド)
▽二塁打 寺川、橋本(香)
香住は安打と盗塁を量産する安定した展開で、前回王者の貫禄を見せた。一回は敵失や四球などの好機を生かすなどして8点を先制。二回も駒居の適時打、橋本と寺川の二塁打などでチャンスを広げ、打者一巡の猛攻で10点を奪い突き放した。
新温泉は三回2死、4打者連続四球で押し出し1点を奪って反撃ののろしを上げるも、香住の猛攻に一歩及ばなかった。(足立七海)

美方、最終回追い付く
▽1回戦
浜坂ブルーオーシャンズ 110030=5
美方イーストジュニア 000005=5
(美方の抽選勝ち)
▽三塁打 西村(美)▽二塁打 西村琉(浜)上田祐、黒田(美)
先行された美方は最終回の集中打で同点に追いつき試合終了。抽選で勝利をもぎ取った。浜坂の先発・西村琉を打ちあぐね、五回まで無安打。六回に田中が安打を放ち、辺見が四球で出塁。続く西村の三塁打を皮切りに、2連続二塁打などで5点を奪った。
浜坂は序盤からリードし、五回は西村琉の二塁打や敵失で3点を追加。試合を決めたかに見えたが、最後は抽選に泣いた。(中村宏)

「最後まで諦めない」 5年ぶり選手宣誓
今大会では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2019年を最後に見合わせていた開閉会式や選手宣誓を5年ぶりに再開した。
開会式では、新日本海新聞社但馬支社の田中泉美支社長が「最後の一球までチーム一丸となって頑張ってください」と激励した。
その後、出場する全チームの旗を背に、選手を代表して新温泉ドリームズの岡田翔琉主将が「野球ができる環境と支えてくださる方に感謝して、最後の一球まで諦めずにプレーすることを誓います」と力強く宣誓した。(足立七海)

結果や得点シーン掲載 みみちゃん号外を発行
会場には、日本海新聞移動編集車「日本海メディア号・みみちゃん」が出動した。各試合の終了後に試合結果や得点シーンの写真などを載せた特別号外を発行。選手や指導者、保護者に配布した。
特別号外はB4判のカラー両面刷りで、各試合100部ずつ発行。元気にチームメートを応援する姿や各選手のはつらつとしたプレーなど試合の様子を写真で伝えた。
受け取った選手たちは、刷り上がりの速さに驚きながら、笑顔で熟読。移動編集車に興味津々の選手もいた。(安部航太)
