2022年11月から2年間、国際協力機構(JICA)の海外協力隊員としてブータンに派遣された理学療法士の田辺和さん(31)=千葉県柏市=が、派遣前の研修プログラムで地域活性化に取り組んだ南部町を訪れた。町民や陶山清孝町長、今後海外へ派遣される後輩たちに対し、妊婦の健康づくりや子どもたちの衛生意識の向上に尽力した活動の成果を報告した。
JICAは、自治体が行う地域活性化の取り組みに海外派遣前の隊員が参加し、実務経験や知見を得る「グローカルプログラム」を実施。田辺さんは同町でプログラムに取り組む第1期生として同年4月から3カ月間活動し、法勝寺温泉の広報活動や児童館での子ども向けイベントの企画などを経験した。
ブータンでは、妊娠に伴う尿漏れや腰痛を予防する妊婦体操を地方の病院10カ所に広め、妊婦約千人が体験。僧院や尼寺の子どもたちへの生理衛生の講義や、手洗い指導も行った。報告会で田辺さんは「失敗しても気持ちを切り替えていろんなことに挑戦したり、何事にも積極的に取り組んだりと南部町での経験が生かされた」と伝えた。
田辺さんは今後、公衆衛生を学ぶため英国の大学院に留学する。「南部町やブータンで得た人との関わりを大切に、知識や経験を積んで地域に恩返ししたい」と話した。