“人間の医者”がAIよりすぐれている点は何だろう。そんなことを考えさせられる記事がアメリカの経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」に載っていた。そのタイトルは、「AIが慢性的な痛みの治癒を助けてくれた」である。
記事の書き手である若い男性が、あるときから頭痛や胃のけいれん、倦怠(けんたい)感に襲われるようになる。彼は神経内科、耳鼻咽喉科、消化器内科などの専門医を訪ねるが、「どの医師も部分的な治療しか提供してくれず、全体像を把握できる医師はいなかった」とのことで、症状の改善も見られなかった。
困り果てた男性は、症状と生活の記録、治療履歴などをAIに読み込ませてアドバイスを求めた。すると、AIは即座に痛みの出現パターンを発見してくれたので、男性はそれに基づいて生活習慣の改善を試みることができた。またAIは、炎症を抑える効果があるとして、食前にポリフェノールの一種であるケルセチンのサプリメントを摂取することを提案してくれた。これらによって男性の慢性の不調はかなり改善したようだ。
局所的な症状や臓器にだけ注目するのではなく、心を含めたからだ全体、生活全体をとらえて患者の苦痛を取り除く。医療...