苦情を伝えるフィードバックは文化の一つ、シンガポール

  •  ネットやアプリを使って匿名で苦情を申し立てるのが一般的という(シンガポール中心部)
  •  インドの首都ニューデリーのインディラ・ガンジー国際空港第3ターミナルに展示されているフセイン氏の壁画

 「団地のエレベーターが故障した」「バスが満員で乗れなくなった」―。シンガポール人は、およそあら探しのように思える出来事であっても苦情の申し立てをする。一種の「国民的娯楽」と言ってもいいだろう。

 苦情の多さは統計の数字にも表れている。シンガポール消費者協会(CASE)によると、2024年に消費者から寄せられた苦情件数は1万4236件で前年比2%増だった。業種別では、自動車が最も多く1306件。それに電気・電子製品の1235件、美容が1199件と続く。住宅改築など建設は962件、エンターテインメントが798件の順となっている。

 根底にあるのは「私が報告しなければ誰がするの?」という現実に即した考え方だ。子どもの頃は、反応や意見を伝えるフィードバックの大切さを学校で教わる。大人になれば、地域団体から調査を通じて問題点の指摘や評価を求められる。

 苦情を言う慣習はフィードバック文化の一端である。声を発することによって改善の実現を求めるのが伝統なのだ。他方で、この国は秩序を重んじる姿勢があり、バランスを取って治まっている。(シンガポール)

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