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人形作家の大川誠さん 個展開催中に急逝

2016年4月30日

 人形作家・大川誠さん(享年40)の個展「まことのまこと」が大阪市阿倍野区共立通の「ギャラリーコーナス」で開かれている。大川さんは副腎がんのため、会期中の15日に急逝。代表作の“Makoot(マクート)”が壁一面に飾られた会場では、訪れた人が在りし日の大川さんを思い、その独特な世界観に心を寄せている。5月7日まで。入場無料。

「Makoot」を見上げる白岩さん。大川さんを「すさまじいパワーを持ったアーティストだった」と振り返る=大阪市阿倍野区共立通のギャラリー
今年3月、大好きな高校野球を観戦した大川さん(アトリエコーナス提供)

 何色もの羊毛のかたまりを専用の針で突き刺して形作る「マクート」。その表情はユーモラスで、少し不気味。豊かな色彩は唯一無二の存在感を放つ。「最初は、けったいなもの作って、と思っていましたが、今は一体一体がかわいい。誠の分身やと思っています」。大川さんの母、典子さん(61)は、そう言ってほほ笑む。

 大川さんは、3歳で「自閉傾向のある知的障害」と診断された。高校卒業後、知的障害者の支援施設・コーナス共生作業所に入り、2005年、同施設がアート活動に特化した「アトリエコーナス」に移行したのを機に人形の制作を始めた。

 「1本の木から仏像を彫るように、色の選択に迷いがない。すさまじいパワーを持った稀有(けう)なアーティストだった」と、アトリエコーナス代表の白岩高子さん。作品は国内外で評価され、岡本太郎美術館(川崎市)で展示されたほか、ロンドンとパリのギャラリーが計60体を購入した。

 ことし2月に副腎がんと診断された。手術ができないほど進行していた。少しでも励みになれば、と今月9日から1カ月間の個展をスタート。大川さんも会場を訪れ、喜んだ表情を浮かべたという。

 がん宣告からわずか2カ月での別れ。しかし、典子さんによると、最期の日々は穏やかに過ぎたという。

 「ずっと、生んでごめんねと思ってきました。障害があって病気にもなって。でも、今は、私のところに生まれてきてくれてありがとう、そう思います」。人かモンスターか。不思議な魅力の「マクート」は、悲しみもそっと包み込む。

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 会場では、54体が展示されているほか、大川さんの制作風景も視聴できる。開場は午後1時から5時半。問い合わせは電話06(7891)5010、ギャラリーコーナスへ。