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戦後日本の歩み描く 24日から二人芝居「あじわうとき」

2016年6月2日

 東京を拠点に活動する演劇ユニット「アトリエ・センターフォワード」が24〜26日、大阪市生野区生野東2丁目のIKサロン表現者工房で二人芝居「あじわうとき」を上演する。戦災孤児となった女性の人生を通して現在まで約80年の日本の歩みを描く。「アトリエ−」代表の矢内文章さんは「ずっと右肩上がりの成長を追い求めてきたが、本当にそれが正しかったのか。立ち止まって振り返るきっかけになれば」と話している。

二人芝居「あじわうとき」をPRするアトリエ・センターフォワードの矢内さん

 5歳で戦災孤児となったミツ子は、見知らぬ大人たちに保護され、ぎりぎりの生活を送る。唯一の心の支えは、彼女が「おじさん」と呼ぶ想像上の友人。2人で話す間だけ寂しさを忘れることができた。

 やがて社会は高度経済成長を迎え、ミツ子にも追い風が吹き始める。高校へ進学し、就職。結婚して2人の子どもも生まれた。しかし、幸せは長く続かない。バブル経済の崩壊と共に家族が離散。再び独りぼっちになったミツ子は孤独の中で老年を迎える。

 昭和から平成、そして21世紀と、激動の時代を生き抜いたミツ子の人生が、おじさんとの会話を通じて描かれる。

 「焼け野原しかなかった戦後も、豊かさに踊ったバブルの時代も、その後の失われた20年も、結局、同じだったのではないか」と矢内さん。幸せを求めながら常に時代に翻弄(ほんろう)され続けたミツ子の姿は、そのまま、あらがいようのない社会システムの中で生きざるをえなかった戦後の日本人の姿でもある。

 ミツ子を「劇団桟敷童子」の大手忍さん、おじさんを矢内さんが演じる。演出も担当する矢内さんは「大手さんは人気劇団の看板女優で、エキセントリックな人物からオーソドックスな役柄までを演じ切るチャーミングな方。この作品で、彼女の違う魅力を引き出したい」と力を込める。

 小規模劇場での上演を想定して書いた作品でもあり、矢内さんは今回の公演をステップに、地方での上演やワークショップの開催も見据えている。

 チケットは前売り2500円、当日3千円。問い合わせは電話080(6685)2908、アトリエ・センターフォワード。