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最新技術を体感 宇宙線利用した火山内部透視装置

2017年1月22日

 地球に降り注ぐ宇宙線を利用し、火山や巨大な構造物の内部を透視する装置が、大阪市北区の市立科学館で展示されている。日本とハンガリーの研究者らが連携して設置。エジプトのピラミッド調査で活用され、今後は火山の噴火予知にも期待が寄せられる最新技術を体感できる。

最新の測定機器を披露した田中教授(左)ら=16日午後、大阪市北区

 透視には、宇宙線から生じる素粒子「ミュー粒子」を利用する。物質を透過する性質が強いが、密度が高いほど多く止まる。そのため、飛来方向と数を測定すればどの方向に密度が高い物質があるか分かる。密度の違いをコンピューター処理してエックス線写真のように映し出すことで巨大な構造物の内部が分かる仕組みだ。

 近年は、東京電力福島第1原発事故で溶けた核燃料を調べるのにこの技術を活用。エジプト・ピラミッドの調査でも使われて注目を集めている。

 科学館では、火山の透視などで成果を上げている研究者らの協力で複数の測定装置を設置。科学館の壁越しに外のビルを映し出したり、ミュー粒子が通過するとその飛跡をランプの点灯で知らせたりしている。

 また、持ち運びやすく軽量化し、より高い精度で測定できるように開発している最新機器を公開。装置の一部は今後も常設展示される予定だ。

 16日には関係者が会見や見学会を実施。装置を開発してきた東京大の田中宏幸教授やハンガリー科学アカデミーのデジェ・ヴァルガ科学アドバイザーらが出席した。パネルを使って研究の経緯や今後の展望を説明した田中教授は「これまで火山の中は想像の世界だった。今後、内部が動画のように分かるようになれば、予報が可能になってくるのでは」と指摘した。

 科学館では、宇宙線に関する研究の歴史を紹介しているコーナーもあり、「過去から現代への応用まで、意義深い展示」(斎藤吉彦館長)につながった形。田中教授は、装置の公開を通して「日本の新しい科学技術として定着させていくためにも、多くの人に関心を持ってほしい」と呼び掛けていた。(加星宙麿)