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カジノ誘致、是非探る 青年会議所大阪で討論会

2017年8月22日

 秋の臨時国会にカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案が提出される方向で、政府が制度案を基に公聴会を開催する中、日本青年会議所近畿地区大阪ブロック協議会は20日夜、大阪市内でカジノ誘致に関する討論会を開催した。大阪府民に「当事者意識を持ってもらう」ことが狙い。5人のパネリストが持論を展開し、ギャンブル依存症対策やカジノの経済効果について熱心に議論した。

それぞれ持論を繰り広げ、活発に討論するパネリストら=20日夜、大阪市北区の大阪市中央公会堂

 パネリストに、カジノ賛成派として大阪商業大の谷岡一郎教授、反対派として井上善雄弁護士と阪南大の桜田照雄教授、中立の立場から「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表と同協議会の後藤克彦会長が登壇。毎日放送制作局エグゼクティブの石田英司氏が司会を務めた。

 ■ギャンブル依存症対策

 政府の有識者会議報告書では、マイナンバーカードによる本人確認厳格化▽入場回数制限▽カジノ面積の上限設置▽入場料徴収(日本人のみ)▽クレジットカード利用や現金自動預払機(ATM)設置の禁止▽本人や家族の申告で入場制限−を、ギャンブル依存症対策として提示している。

 討論会では、谷岡教授と田中代表が「本人や家族の申告による入場制限」を、井上弁護士と桜田教授が「賭け金制限」を有効な対策と主張した。谷岡氏は「アメリカで一番効果があるのは本人や家族の申告」とし、田中氏も同意見だが「カジノだけではだめ」とほかのギャンブルへの導入も必要と指摘。

 井上弁護士は「マイナンバーカードに類した個人番号を導入し、例えば(使用金額が)今月はあなたの所得の20%を超えており、オーバーとして止める」など、ノルウェーなどで導入されている「使える金額の上限設定」(桜田教授)のシステム化を挙げた。

 ■カジノはもうかるのか

 カジノの経済効果として、訪日外国人による消費拡大▽税収増▽地方の活性化▽雇用効果−が主張されるが実際にどうか。

 桜田教授は「1兆円の投資を回収するには、年間1400億円が損益分岐点。2兆8千億円〜4兆2千億円の賭博に負けた人のお金がいる」と懸念。谷岡教授は「カジノ以外の収益(ノンゲーミング収益)がラスベガスは65%。日本ぐらい文化コンテンツがあり、大阪ほど世界遺産に近いという条件があれば、ノンゲーミング収入はもっと大きな割合になる」と反論した。

 IRの中のカジノの役割としては、谷岡教授が「人とお金を回転させる。もうけはほとんど出さなくて結構。コンベンション施設などを維持していくには、カジノという仕掛けが必要」と主張。

 これに対し井上弁護士は、公聴会で政府が説明した「カジノ施設の高い収益力で、IR事業全体の採算性を確保する。IRに収益性があるのではなく、カジノが弱いところをカバーする」という発言を紹介し、矛盾を指摘した。

 今後の注目点に田中氏は、継続審議のギャンブル依存症対策法案を取り上げたほか、桜田教授は「(カジノが)できるには地元自治体の同意が必要。われわれ自身が対応しなければいけないと自覚してほしい」と参加者に呼び掛けた。