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舞台「黒蜥蜴」初挑戦の中谷美紀 来年2月上演

2017年10月11日

 残酷かつ美しい、胸がヒリヒリするような愛の物語−。江戸川乱歩の傑作を三島由紀夫が戯曲化した「黒蜥蜴(とかげ)」をこう説明する中谷美紀。美輪明宏や麻実れいら多くの大物俳優が務めた大役、黒蜥蜴に初めて臨むことになり、「少々荷が重すぎるが、本番までには黒蜥蜴を見いだしたい」と力を込める。

「映画的な手法、身体表現を含めた新たな黒蜥蜴になると思う」と話す中谷美紀(撮影:舞山秀一)

 「オファーを受け、喜びよりも恐れが勝った」という中谷。そこで演出家のデヴィッド・ルヴォーに会いにニューヨークへ渡った。「ルヴォーは人の心を操る天才で、詐欺師のように言葉で魔法をかけてしまう。その魔法にかかり、どうせなら最後までだましてもらおうと」、役を引き受ける決意をする。

 宝石商・岩瀬庄兵衛(たかお鷹)は娘・早苗(相楽樹)の誘拐をおびえ、私立探偵の明智小五郎(井上芳雄)を雇う。親子が身を潜めるホテルの隣室には、岩瀬の店の上客である緑川夫人(中谷)が宿泊していた。夫人は部下の美しい青年・雨宮潤一(成河)を早苗に紹介すると見せかけ、彼女を奪い去る。夫人こそ、誘拐予告をした女賊・黒蜥蜴だった…。

 “美”を求める黒蜥蜴と、明智小五郎のラブストーリーを「グロテスクな美しさ」で描くというルヴォー。古きよき時代のハリウッドの撮影スタジオのような舞台で「ト書きをかなり無視して新しい世界観」(中谷)で展開していく。

 「読み応えがあり、三島作品の中でも最も分かりやすいエンターテインメント。しかしいざ演じると、詩的で文学的なせりふで、記憶するのも大変」と苦笑する中谷。一つ一つのせりふの情景をイメージしながら、頭に、体に入れていく。「心を解放してよろいをすべて取り払わなくてはならない。そのためには早く言葉を覚え、三島の言葉から自由になりたい」

 映像では多くの実績を持つが、舞台は2011年「猟銃」からスタートし、「ロスト・イン・ヨンカーズ」「メアリー・ステュアート」に続く4作目。毎回「指折り千秋楽を待っている」と言い、「本番はほかの女優さんに変わっていただきたいくらい」と舞台への恐れを明かす。それでも「かつて共演者が舞台は『黄金の牢獄(ろうごく)』だと言っていた。まさにそれがこの世界」。だからまた、舞台に立つ。

 大阪公演は来年2月1〜5日、梅田芸術劇場メインホール。