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「嘘八百」 新年は大阪・堺から始まる

2017年12月29日

 今年最後の記事で、まずはいろいろな映画があったと振り返りたい。日本映画は大阪ロケの白石和彌監督「彼女がその名を知らない鳥たち」が印象深い。のんべんだらりと生きている女(蒼井優)のいいかげんな日常が周辺のダメな人間たちと一緒に描かれて、その中の一人には決してなりたくないと思わせられた。

中井貴一(左)と佐々木蔵之介=(C)2018「嘘八百」製作委員会

 同じように大阪の売れない若い芸人の挫折を描いた板尾創路監督の「火花」の主人公2人(菅田将暉、桐谷健太)には「頑張っているなあ…」とため息をつかされた。芸人だけでなく、多くの人が思い当たるのではないか。岸善幸監督の「あゝ、荒野」のボクサー(菅田将暉)に「あしたのジョー」を見た人も少なくなかったろう。

 外国映画はここへ来て「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」が登場して、ジョン・ウィリアムズの音楽を随分長く聴いてきたと思うだけで感慨深い。ジム・ジャームッシュ監督の米映画「パターソン」のバス運転手の精神に限りなく共感し、ケン・ローチ監督の英映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」の主人公も人ごとではない。ポーランドのアンジェイ・ワイダ監督の遺作「残像」を心にとどめたい。

 東映京都撮影所で一時期、映画論を戦わせた戦友、渡瀬恒彦さんと松方弘樹さんが亡くなった。ニコッと笑いかけてくる2人の顔が忘れられない。

 というわけでこの年が終わり、2018年がやって来る。今年は大阪・ミナミを舞台にした「破門 ふたりのヤクビョーガミ」でスタートしたが、来年も大阪・堺が舞台の「嘘八百」から紹介できるのがうれしい。どちらも佐々木蔵之介が主演しており、前作がやくざで、今回は落ちぶれた陶芸家でインチキ古物商の中井貴一と組んで国宝級茶器を巡って繰り広げる人情コメディーである。

 中井と佐々木の中年男コンビが、大阪のおもろい人間たち(友近、坂田利夫、木下ほうか、芦屋小雁、近藤正臣、塚地武雄、桂雀々)らを巻き込んで思わぬエンディングに走っていく。森川葵、前野朋哉、堀内敬子、寺田農らが共演。大阪の脚本家・今井雅子と「百円の恋」の足立紳がオリジナルで脚本を書き、監督は「百円の恋」「リングサイド・ストーリー」の名匠、武正晴である。

 ギャガ配給。1月5日からTOHOシネマズ梅田・同なんばほかで公開。