打ち神 神事粛々と 県指定無形民俗文化財 高杉神社「うわなり打ち」

 大山町宮内の高杉神社で17日夜から18日未明にかけ、県指定無形民俗文化財「宮内のうわなり打ち神事」が行われた。宮内地区の住民らが見守る中、氏子の中から選ばれた「打ち神」3人が神霊が憑依(ひょうい)したとされる状態で打ち合い式を行い、住民の無病息災を願って御供(ごくう)を配った。

 うわなり打ちとは、前妻が後妻を襲撃し、後妻も応じて打ち合いを行い、仲介人が折を見て引き上げさせる習俗。社伝などによると476年にこの地の人々に不幸が続き、託宣で孝霊天皇の官女松媛命と千代媛命が本妻の細姫に嫉妬してたたっているとされたため、社殿を創建し、うるう年の旧暦9月15日から16日にかけ神事を行うようになった。

 古い時代の祭礼要素が残り、神霊の憑依については県内唯一の伝承例であることが貴重とされ、2018年に同文化財に指定された。

 今年は17日午後11時40分に神事が開始。「打ち神」の3人はおはらいを受け神前に供えた御供を食べて神霊が憑依したとされる状態になり、水で身を清める水ごりを行った。神幸行列に守られて神事場に向かうと「投げ杯」「打杖渡し」の行事を行い、最後の打ち合い式では下神主の「こよいの神事潔し」の言葉と同時に三方から進み出て打ち合い、「本殿(細姫)の勝ち」の宣告で神事終了となった。住民らには食べると無病息災になるとされる御供が配られた。

 「打ち神」を務めた美柑和也さん(41)=大阪市=は「父が宮内地区の出身で、ご縁のようなものを感じた。最中はふわふわとした感じがあり、ちょっと今日は眠れないかもしれない」と希少な体験に興奮をにじませた。

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