出張美術展楽しむ 高齢者施設で作品鑑賞

 鳥取県が所蔵する美術作品を高齢者施設に運び込み、作品鑑賞を楽しんでもらう“出張美術展”が、鳥取市大桷の高草あすなろで開かれた。施設に入所する高齢者とアートをつなぐ初の試みで、お年寄りたちは絵を見て感じたことを職員と話しながら楽しいひとときを過ごした。

 3月に開館する県立美術館の事業の一環。県所蔵の美術作品を高齢者施設に搬入し鑑賞の機会をつくることで、普段はなかなか外出が難しい高齢者にもアートに触れてもらおうと初めて実施した。

 展示室となった地域交流センターには、橋本興家や岡村吉右衛門の版画作品14点が並べられた。施設利用者らが職員と訪れ、作品の前で「何の植物を描いたものだろうか」と考えを巡らせたり、「作品を見てどう思いますか」と職員に聞かれると感じたことを話したりして、対話を通してじっくりと鑑賞を楽しんだ。中村陽子さん(89)は「絵を見るのが好き。これからも、時々絵を見られたらうれしい」と笑顔を見せた。

 大橋茂樹施設長は「普段と違う催しがあると、利用者の皆さんも喜ばれる。美術館まで行くのは難しく、施設で開いてもらえるのはありがたい。今後も機会があれば」と期待。同美術館の佐藤真菜学芸員は「作品をきっかけに対話が生まれているのを見て、これを一歩目に今後も取り組みを続けていけると感じた」と力を込めた。

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