東西に長い静岡県の中で、東に位置する伊豆半島は南北にも長い。「天城越え」で知られるように地形は急峻(きゅうしゅん)で、半島南部ともなると、県の中部(静岡)や西部(浜松)からはかなり遠いという実感がある。
一方、首都圏とのつながりは結構強い。特に半島東岸では、入り口の熱海からJR伊東線、伊東から先は伊豆急行(伊豆急)が南端の伊豆急下田までつながっている。伊東線と伊豆急を直通する列車は多く、東京発着の特急が何本も走っていて、とても行きやすい観光地の一つだ。
その伊豆急、各駅に止まる普通列車の中に、特急列車のような車両が存在する。2100系、愛称「リゾート21」。最初の編成が登場したのが1985年で、40年にわたって伊豆半島への観光客を運び続けた働き者なのだ。
現在、普通列車として活躍しているのは第3次編成の「キンメ電車」と第4次編成の「黒船電車」。後者は、幕末に開港した下田にちなみ、ペリーの黒船よろしく真っ黒な車体なのだが、キンメとは? そう、伊豆近海で取れるキンメダイのような真っ赤な色に包まれた、とても派手な車両なのである。
リゾート21の最大の特徴は、車内が左右非対称になっている点。...