吉武英行 五感の旅

岡山、真庭郡の風景

2021年2月22日
懐かしい時間の流れを感じさせてくれる

 緊急事態宣言発出の後、ほんとに近場の旅に明け暮れている。どういうわけか西へ向かうことが多いのはコロナのせいだろうか。そして去年あたりから妙にここ高梁川の風景が浮かんでくる。中国自動車道落合インターから15分の便利さにも引かれ、真庭郡勝山を再び訪ねることになる。

 以前に一度紹介した「のれんの街並み」の街だ。山に囲まれ、清流が流れるこの場所は郷愁にも似た懐かしさが体中に染みてくる。古い街並みとのれんは「映画、寅さんシリーズ」でも舞台になった豊かな旅情を醸し出す風景がある。

 文豪谷崎潤一郎がこの地で執筆したという「細雪」、美作の流通を支えた高瀬舟(河川を航行する木造船)の発着場跡など、すべてがこの風景の中に溶け込むように、作り物ではない本物の時間の流れを感じるのは私だけだろうか。

 街並みを散策し、例えば赤色瓦となまこ壁が特徴なこの店は1804年に創業した日本酒の蔵元「御前酒蔵元 辻本店」。この趣ある建物は江戸後期に建てられたという。2013年には登録有形文化財に登録された。日本酒を求めるお客さんがひっきりなしに訪れる。

 また店舗向かいには直営店「NISIKURA」がある。粕(かす)漬、しょうゆ?、塩?を使った料理など、日本酒の蔵元ならではの食事を提供するレストラン。そして隠れ家カフェ「かぴぱらこーひー」。勝山を流れる旭川を眺めながらお茶を楽しめる穴場スポット。中でもおすすめなのがレモンコーヒー。是非、ご賞味あれ!

 風情ある昔の街並みと、すぐ裏手を流れる旭川に残る高瀬舟発着所、観光客も程よい程度にまばらで旅愁を体感するにはもってこいの穴場。“小さめ”な旅もいいもんだ。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



サイト内検索