鳥取市吉岡温泉町の教蓮寺(山口堅心住職)で、世界的な日本画家・山川賀寿雄氏の大作「夢にむかって」の完成奉納式があった。制作にも携わった30人以上の檀家(だんか)や関係者が訪れ、壮大な日本画作品に感嘆の声を上げながら奉納式を見守った。
師を持たない日本画家の山川氏は、世界中の美術展で数多くの賞を受賞。作品は伊勢神宮や清水寺、法隆寺などに奉納され、世界中の有名美術館にも収蔵されている。現在は同町の旧湖南中学校内に山川塾を構え、後継者の育成と共に文字彫刻の「賀寿翁彫り」の教室を開いて、地元住民との交流を図っている。
「夢にむかって」は、約1年前から構想を練り完成にこぎつけた超大作。制作は親しい教蓮寺の檀家からふすま絵の制作依頼があったのがきっかけで、檀家と一緒に制作に取り組むならと快諾。制作に関わった檀家は、震える手を押さえながら数百羽の鶴に筆を入れたという。
日本画の奉納を受けた山口住職らは「寺の宝以上に地区の宝としてこの先永年に残る物、大切に管理していきたい」と感激。
山川氏は「近年手足のしびれがあり、何度も挫折しかけた中、筆を手に固定し取り組んだ。これも神が与えた試練、これを超えたら新しい世界が開ける」と制作に対しての苦労と意気込みを語った。