「自分だけの青瓷を」 県無形文化財「陶芸」保持者 坂本さんギャラリートーク 市歴史博物館

 鳥取県無形文化財「陶芸」保持者の坂本章さん(58)=鳥取市河原町中井=の認定を記念したギャラリートークが2日、同市上町の市歴史博物館であった。因州・中井窯の3代目として民芸の作陶で培った技を武器に、青瓷(せいじ)作家として新たな境地を開いた過程を説明。「誰もしたことがない自分だけの青瓷を作りたい。まだ伸びしろはある」とさらなる高みへ決意を語った。

 本年度新たに指定された文化財を紹介する展示会の一環。坂本さんの青瓷作品は日本伝統工芸展に入選した鉢やつぼなど約40点で、白・黒・緑の釉薬(ゆうやく)を掛け分けた大皿、世界的工業デザイナー、柳宗理氏と組んだ縁抜き皿など中井窯の代表作も並ぶ。

 若者らの支持を集めて現在の民芸ブームの火付け役となったが、「個」の表現を求めて40代で伝統工芸の世界に飛び込んだ。同じ西郷地区で創作する白磁の人間国宝、前田昭博さん(69)の存在も大きかったと明かした。

 自身が理想とする「雨上がりの空の青」を追求するには、釉薬の調合や焼成の難しさがあるが「失敗の先に次につながるヒントがある。ようやく表現することに向かえるようになった」と挑戦し続ける大切さを説いた。

 展示会は来年1月14日まで。12月26日から始まる後期展で作品の一部を入れ替える。

この機能はプレミアム会員限定です。
クリップした記事でチェック!
あなただけのクリップした記事が作れます。
プレミアム会員に登録する ログインの方はこちら

トップニュース

同じカテゴリーの記事