戦争の悲惨さ伝えたい 小河さん(鳥取) 本紙投稿を小冊子に 父の出征や当時の暮らし記す

「若い世代も感じて」

 本紙「読者のひろば」欄に戦中戦後の体験を投稿してきた鳥取市雲山の元会社役員、小河守さん(86)が、小冊子「平和への祈り~出征兵士と家族の記録~」を発行した。掲載された10本に加え、書き切れなかったエピソードを追稿として加えた。戦地に赴いた父や元兵士の体験、戦時下で厳しい暮らしを強いられた幼い日の記憶をつづり、戦争の悲惨さや戦地に散った人々の無念さを伝えている。

 小河さんは旧船岡村(現八頭町船岡)生まれ。少年期は軍国主義的な教育を受けて育ち、父の出征を経験した。戦後は帰還した元兵士らと交流。当時の勇ましいかけ声とはかけ離れた戦地の実態について聞いてきた。

 終戦から80年が近づき当時の様子を知る人が少なくなる中、見聞きしてきた話を語り継ぎたいと、2022年8月から「ひろば」欄に投稿。文章を書くのは苦手だったが、知人に励まされて筆を握り、掲載が10回となったのを区切りとして小冊子にまとめた。

 「父を戦場に送った駅」では、召集令状が届いた父を旧国鉄若桜線因幡船岡駅で見送った際の記憶を記した。村民総出で万歳三唱して送り出したが、列車を最後まで見送った後、残された家族で「無言でとぼとぼ家路についた」と幼き日の記憶をたどった。

 追稿では「戦地では天皇陛下万歳と死んでいった兵より、お母さんと口にした兵隊が多かった」といった元将兵の証言も掲載。戦後も食糧難が続き、都市部からやって来た女性らが農家を一軒一軒回り、物々交換で米を分けてもらっていた様子も記した。

 小河さんは「戦時中の厳しい時代を振り返り、今がどれだけ幸せか、戦争を知らない若い世代にも感じてほしい」と話した。

 ◇B5判20ページ。300部発行。問い合わせは電話080(2912)1500、小河さん。

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