八頭町国中にあるJR因美線の無人駅・河原駅で、平日午前の数時間だけ切符を販売する女性がいる。同町米岡の山本迪子さん(88)は、JR西日本から切符を販売する「出札(しゅっさつ)業務」を委託され、20年以上1人で窓口に立つ。こうした簡易委託駅は全国各地で姿を消しつつあり、珍しい手売りの切符を求めて全国から愛好家も訪れている。
「今日は歩いてきたの?」「わんちゃんは元気?」「気をつけて行ってらっしゃい」-。23日午前8時半すぎ、河原駅に山本さんのはつらつとした声が響いた。切符を購入する人はほとんどが近隣住民で、多くても1日に5人ほど。同9時前の鳥取行き列車が来るまで、出札室のパイプ椅子に座って世間話に花を咲かせるのがお決まりだ。