日本の伝統的な酒造りが無形文化遺産に登録された。鳥取県では近年、自然に委ねる要素が多い伝統的な生酛(きもと)造りと呼ばれる製造法が盛んになっており、消費への期待も膨らむ。大山山麓にある久米桜酒造(伯耆町)は2年前に全量を酵母と乳酸菌を一切加えず行うこの製法に切り替えた。これまでとは違う低アルコールで甘酸っぱい酒が生まれ、その土地ならではの酒として海外や県外の飲食店などから注目を浴びている。
口に含むとトロッとした舌触り、乳酸飲料のような甘酸っぱさと複雑な味わいが口中に広がる。杜氏(とうじ)の三輪智成さん(53)は「鉛筆で描いた円がこれまでの酒とすれば、筆や指で描いたような円。はっきりした輪郭はないが体にすっとなじんでいく」とその特徴を語る。