祐生収集 多様な掛け軸 えりすぐり41点を展示

 南部町出身の孔版画家で収集家として知られた板祐生(1889-1956年)が集めた掛け軸の展示会が、同町下中谷の祐生出会いの館で開かれている。人気漫画家のイラストなど貴重な品をはじめ、住民が生活の中で使用していた掛け軸など、多様な41点が並ぶ。24日まで(火曜休館)。

 関東大震災の被災者を元気付けようと新聞に連載され人気を博した漫画「ノンキナトウサン」の作者、麻生豊が描いた主人公「トウサン」は団子鼻に丸眼鏡をかけたチャーミングな姿が目を引く。「松本幸四郎松王丸隈」は、歌舞伎役者の七代目松本幸四郎が1927年に米子朝日座で公演した際、祐生が楽屋を訪れ、顔を彩る「隈(くま)取り」を掛け軸に描くよう願ったという。

 地元住民の生活に根付いた掛け軸も並ぶ。ひな人形の代わりとして床の間に飾られていた、おひなさまやお内裏様を描いた「雛絵(ひなえ)」は計4点を展示。江戸時代の浮世絵師、三代目歌川豊国が描いた作品もあり、祐生の審美眼の高さがうかがえる。

 中尾慶治郎副館長は「珍しいものから庶民が愛用した掛け軸まで一堂にそろっている。100年前の人々の嗜好(しこう)や生活に思いをはせてもらいたい」と話した。

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