いつのころからか「リブート」という作品展開を目にするようになった。パソコンの再起動から来ている言葉のようだが、物語の核の部分を維持した上で、その他の要素を設定し直して作品をつくる手法のことを指す。昔の作品をほぼ同じ体裁で作り直す「リメーク」や、脇役やサイドストーリーを膨らませる「スピンオフ」とは違い、作品の世界観を新たな視点でゼロから体験できるのが特徴だ。オリジナルのファンにとっては期待と不安を、未見の観客には出合いをもたらす、興味深い手法だ。
何度でも日本を襲う「ゴジラ」や、ハリウッドが量産しているアメコミヒーローものなどがリブートに当たるだろう。再起動成功の鍵は何よりオリジナルの知名度や面白さが握っている。そういう意味で今回ネットフリックスが手がけた「新幹線大爆破」は、1975年公開のオリジナルが傑作だったことから、いやが応でも期待が高まっていた。
「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」などのパニック映画がブームとなった70年代、東映が日本発のノンストップサスペンスを目指して新幹線に目を付けた。「新幹線が一定の速度を下回ると爆発する」。そんな卓越したアイデア...