ここ数年、「男同士のおしゃべり会」というものを開いている。3人一組のグループに分かれ、お互いの話に耳を傾け合うシンプルな催しだ。
ただ話す。ただ聞く。「哲学対話」という、語り合いながら考えを深めていく営みや、「言いっぱなし、聞きっぱなし」を原則とする自助グループのスタイルなどを参考に、講演会やトークイベント用のワークショップとして始めたものだったが、「男性限定でやってみたい」というリクエストを受ける機会が増え、書店や自治体の男女共同参画センターなどさまざまな場所で開催してきた。
俺たちにはおしゃべりが必要だ─。例えば東京・高円寺の書店「蟹ブックス」と共同開催しているイベントには、このようなタイトルが付いている。副題は「男同士で語り合う夜のお茶会」と続く。
立場や肩書、男らしさのよろいも脱ぎ捨てた一個人として集まり、「わかるわかる」「そうなんですね…」「確かに!」と、互いの話に耳を傾けながら身の上話を語り合っていく場こそ、今を生きる男性たちに最も必要なものではないかと考えたからだ。
すべてのケースに当てはまる話ではもちろんないが、男同士の関係には特有のコミュニケーション様式が存在する。...