プロの編集者とはどんな人たちなのか。文芸記者の立場からみると、新刊が出たばかりの作家をインタビューするときに横にいて話を聞いている(ときに話に入ってくる)のが編集者である。その存在が作家にとっていかに大きいかということを、いろんな場面で実感する。前に出たがらないというか、黒子であることを美徳と考えているタイプの人が多いが、それでも有名になってしまう人たちがいる。
「彼に言われて冒頭を一から書き直した」「正しい指摘でありがたかった」「彼女の依頼だから書かなければと思った」。そんな言葉を作家たちから聞いた。複数の作家の口から、繰り返し名前が出てくるような編集者もいて、そういう人は記者から見ても、少しまぶしい。
思えば、大半の作家は編集者によって見いだされるし、作品一つ一つも編集者とのせめぎ合いや協力、共闘をへて世に出る。中には「編集者の意見は全く入れない」という“大作家”もいるが、そういう人でも新人の頃はそうではなかったのではないか。
東京都目黒区駒場の日本近代文学館の秋季特別展は「編集者かく戦へり」(11月23日まで)。タイトルとその企画趣旨を知って、そのユニークさに惹かれ、面白さを予...