家族の犯罪行為を黙認してとがめずにいることは、それだけで犯行の「心理的なほう助」になるのか。議論を呼びそうな判決が下った。
2023年に起きた札幌・ススキノでの殺人事件で、死体遺棄ほう助などの罪に問われていた女性に札幌地裁で判決が言いわたされたのだ。女性は殺人罪などで起訴されている娘の母親にあたるが、死体遺棄ほう助罪などが成立するとの判断で、懲役1年2月、執行猶予3年の量刑であった。
この事件では、被害者の遺体の頭部が切断され、持ち去られるという犯行の特異性に加え、殺害を行ったとされる娘に両親が長年、服従せざるを得ない生活を送ってきたという家族背景にも注目が集まった。
娘が自宅の浴室に被害者の頭部を隠したのを知らされた女性は、それをとがめたり警察に通報したりすることはなかった。判決要旨によれば、それが「(娘の)死体遺棄の犯行を容易にしたものと認定評価でき、被告人には死体遺棄ほう助罪が成立する」と判断する根拠となったようだ。
ただ、前述したようにこの家庭では公判でも“娘ファースト”といった表現が使われたように、両親が娘の支配下に置かれる関係が構造化していた。おそらく母親は、できごとの重...