先日、ラジオ番組で「私の好きな言葉」をテーマに語る機会がありました。本の中で出会った言葉、ある人からかけられた言葉など、自分を支えてくれたり、あるいは奮い立たせてくれたりした経験を懐かしく振り返りました。今回は、私の好きな言葉の中から、二つをご紹介したいと思います。
▽「明けない夜はない」
私は苦境に立たされた時、「明けない夜はない」という言葉をよく思い出します。
この言葉は山形県の教育者、村山ひで氏(1908~2001年)が書いた児童主体の教育書のタイトルとしても有名です。彼女は戦前、山形の小学校で教員となり、治安維持法違反で弾圧・投獄された夫の俊太郎を支え、戦後は母親運動で活躍しました。2年間獄中にいた夫を、“こんな世の中がそう長く続くはずがない”と励まし続けた言葉が「明けない夜はない」だったのです。
極めてシンプルですが、真理を突いています。だからこそ、これまでも、戦争や災害、身近な人の不幸などの苦難に直面したり、絶望の淵に立たされたりした多くの人々に光と力を与えてきたのでしょう。
新型コロナウイルス禍では次々と仕事や予定がキャンセルになり、収入や人とのつながりなどが断たれてし...