大相撲夏場所で大関・大の里が2場所連続優勝を見事果たし、第75代横綱に昇進した。
師匠である稀勢の里(現二所ノ関親方)以来、8年ぶりとなる日本出身の横綱誕生に、大相撲ファンは喜んでいる。とりわけ、2024年の元日を襲った能登半島地震と、同年9月の豪雨災害からの復興途上にある地元・石川県の方々は、大いに勇気づけられたに違いない。
5月28日の伝達式での口上は「横綱の地位を汚さぬよう稽古に精進し、唯一無二の横綱を目指します」。大関昇進時と同じ「唯一無二」を用いた理由を問われると「この言葉しかない。ぴったりだなと思って自分で入れた」とこだわりを見せた。
横綱は、言うまでもなく力士の最高位であり、抜群の技量とともに品格も備えていなければならないとされる。また、土俵入りの際などに締める「純白の綱」は、神の依り代(よりしろ)を表す「しめ縄」が起源とされ、横綱が持つ力に対する人々の尊敬の念を象徴する。大相撲が、スポーツを超えた文化的意味を持つゆえんであろう。
私は小学生の頃から大相撲ファンで、テレビ中継や、国技館での観戦で土俵に親しんできた。初土俵から所要13場所、新入幕から9場所と、最速で角界の...