吉武英行 五感の旅

出会いがリピーターをつくる

2020年3月23日
料理も大切だが、人との出会いがリピーターを呼ぶ

 そのホテルが気に入ってリピーターになる。その理由の多くは人との出会いだ。私は外資系のあるホテルの魅力にハマった。数年前になるが、家族で映画を見た後、このホテルのサンデービュッフェに向かった。いわゆるバイキングである。毎日曜日に欧米各国がテーマのビュッフェが開催され、この日はフランス料理だった。

 入り口に着くと、数人のスタッフから一斉に「いらっしゃいませ!」と迎えられ、少々不機嫌だった息子たちも思わずニッコリ。食事が始まり、前菜を取ると、スタッフの一人がすかさず「お持ちしましょう」と皿を運び、テーブルで他のスタッフが椅子を引いて待ち、至れり尽くせりのサービス。キッチンスタッフも料理説明に加わり、「ビュッフェレストランでは放っておかれる」という概念は見事に覆させられた。

 筆者の持論である「サービスに天才はいらない」「チームワークがベスト」ということを絵に描いたようなすばらしいチームプレーが構築されていた。マネジャーの指導のたまものだろう。この店の接客サービスは、どちらかと言えば控えめ。出しゃばらず、しかしお客が必要な時に必要なものをさっと提供する、まさにスイススタイルのサービスである。外国人客は日本文化の奥ゆかしさを感じていたかもしれない。

 ホテルマンを目指す若者も、悩み多きホテルマンも是非、このレストランを訪ね、チームワークの取れたサービスとホスピタリティーの神髄をつかみ取ってほしい。大切な顧客をつくるということは、人との出会いがすべてである。そしてプロである以上、日々の知識、技術の向上を怠ってはならないということだ。

 ホテルレストランは料理も大切だが、ホテルマンは環境を売る商売である。自身の清潔感、環境の清潔感、笑顔ひとつをとっても、環境の一部であるということを自覚することが大事だ。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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