吉武英行 五感の旅

大嵐の中の旅館運営

2021年9月27日
これからの荒波に耐えるためにも、洋室化に踏み切ることも必要

 コロナ禍が襲ってはや2年がたとうとしている。まさに「パーフェクトストーム」だ。これまでもエネルギーコストアップや食材の高騰は何度もあったが、たいていは一度につき1個ずつの問題発生だった。しかし、今度のコロナの波は、すべていっぺんに降りかかっているのだから容易ならない事態だ。

 ということで、パーフェクトストームを前に、われわれは何を考えたらよいのかこれから模索するわけだが、「崖の上で巨大ストームにあおられる経済」みたいな情勢になってしまった。深刻化しているが、それでも続けなければならない。

 今、ホテル・旅館業界がやらなければいけないことは何か考えてみたい。暴風雨の中で安定した航海をするためには、この秋口から年末は、集客をしたい気持ちはわかるが、経営上意識のスタンスは、内部設備の補修に移す方が得策だ。メンテナンスのプロがいるので、ユーティリティー(水光熱費)の数字の総点検など、無駄な部分については省エネ装置など入れることも大事。

 さんざん言い尽くされたことだが、20室から40室くらいの典型的な日本旅館は、この際、心の底から思い切って団体営業から足を洗っていいのではないか、と極端な意見ながらそう考える。たまに入ってくる団体客を失いたくない気持ちはわかるが、もうそこに色目を使っている暇はない、というのが率直なところ。

 客室は今や2人以上はほとんど入らない(入れない)と覚悟して、最近のトレンドであるツインベッド導入で洋室化に踏み切る方が荒波には耐えやすい。ベッド方式の寝具のプリセットは、ルームメークにかかる時間を集中させることができるから、人件費の効率化にもつながる。効率より効果の見える設備投資で、船体に強度を加えたいのである。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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