吉武英行 五感の旅

おいしいものを少しだけ

2021年10月4日
お客さまのニーズに常に関心を持つサポートを期待したい

 高齢化社会はどんどん進んでいくのだから、「旅館料理のボリューム問題」は今後ますます重要になる。「夕食は豪華12品、タラバガニ、にぎりずし付き」みたいな商品のニーズもありだが、でも一方で「おいしいものを少しだけでいい」という中高年富裕層の潜在的ニーズは間違いなく増えている。

 旅館に予約の際に「料理の品数を減らしてくれ」と言ってもたぶん無理。食べきれないのなら残してもらって構わないとの返事はどこも同じだ。しかし、中高年者は一様に「もったいないことだ」と口を合わせる。調理師に申し訳ないと思うのが常識人の感覚であろう。旅行代理店を通してお願いするのも一考かなと思う。

 これからはこの要望にどう応えるか、具体的にどう対応するかを考えておくべきだし、それを積極的に商品化すべきではないか。もちろん、単純に料理数を減らすというだけではダメ。お客の求めているのは「量が少なくて、満足感のあるもの」。難しいが何か方法があるはずだ。

 以前に中高年者向きの旅行企画を実施した際にも、食事の量問題が発生し、各受け入れ旅館に相談して「ちょうどよい量」の夕食をお願いしたことがある。ほとんどの旅館が「程よい量の夕食」を提供してくれて高評価を得たが、和歌山にある一つの旅館だけは最高の手抜きをされ、クレーム処理に駆け回った思い出がある。

 夕食の献立を見ていただきたい。カップ野菜サラダ・ハムエッグ、切り干し大根の小鉢、みそ汁、デザート(皮付きみかん)。ただのまずい朝食メニュー。思い出すだけで苦笑い。それ以来、その旅館とは縁が切れたのは言うまでもない。お客さまのニーズに常に関心を持つ、プロフェッショナルサポートを期待してやまない。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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