アルゲリッチ、大いに語る―。
世界的ピアニストのマルタ・アルゲリッチと能楽師の人間国宝、大槻文蔵。西洋と日本の芸術の最高峰に立つ2人の共演を収録したドキュメンタリー作品「出会い」の完成を受け、東京・内幸町の日本記者クラブで会見が開かれた。めったにメディアの取材に応じないアルゲリッチの会見は極めて異例で、貴重な機会となった。
「表現方法や文化は違うかもれないが、対話をすることは最も重要で、世界の平和の源となる。本当に豊かな経験をすることができた」とアルゲリッチが語る通り、大槻との共演は特別な体験だったようだ。
「出会い」は、アルゲリッチの娘で映像作家のステファニーが監督。2022年にMOA美術館能楽堂(静岡県熱海市)でアルゲリッチが弾くバッハの「パルティータ第2番」で大槻が舞を披露した公演と舞台裏の様子を収録した。
会見で大槻はこう振り返った。「リハーサルでアルゲリッチさんが弾いてくださった音を聴いたら、(準備していたことは)どうでもいい、この音が自分なんだと思えた。なんの抵抗もなく音に乗ることができてびっくりした」
アルゲリッチは「能に、私は常に魅了されている。バッハは、どんなものと...